'98 武蔵村山ふれあい市民まつり 活動報告

立教大学理学部 物理学科4年 福田 方洋

 福祉まつりが正式に開催されることが決定したのは、7月の下旬頃でし た。7月初め頃に善家さんに連絡をとって、福祉まつりが行われる場合今 年も参加するということを伝えました。その時はまだ会議にかけていない ということなので、はっきりと決まったわけではなかったのです。  もしかしたら、今年は開催されないということもありました。最初の連 絡から約2週間後、開催が決定したことを伝えられました。
 ここで、今年はコース、車いすを善家さんが用意するということになり ました。善家さんの方ではこの企画を、できれば近くの小学校でも行いた いという希望があったみたいです。
 そのため今回はコース、車いすをこちらで用意することがなくなり、輸 送といった負担がかなり減ったように思います。8月中は善家さんと打ち 合わせをしました。

 ・車いすを何台用意するか?
 ・アンケートはどうするか?
 ・コースはどのようなものにするか?

 といったことを話し合いました。
 コースは善家さんのほうで作っていただくので坂道のつなぎの設計図を 送りました。この時点で車いす10台(電動含む)、アンケートは昨年と 同様のものということになっていました。できれば8月中に一度善家さん とお会いして直接お話するなどしたかったのですが、日程があわず9月3 日に下見もかねて市民会館を訪れることにしました。
 9/3、まず立教高校によって小道具とパンテーラ2台を取りにいって その後善家さんとお会いしました。その時実際にコース用の坂道、片斜面 などを見せていただきましたが、かなりよいものができていたと思います。  ただ、板の厚さが1cmというのが気になりました。今まで車いすの重さ でゆがまないように2cmの板を使っていたので1cmではもしかしたら 当日使えなくなってしまうかも、とも思いました。
 ここで、実際に会場を見ました。市民会館の駐車場をぐるっと1週する ところが私たちの企画のために用意されたスペースだったのですが、その 真ん中で当日はフォークダンスや歌があるというのもちょっと気がかりで したが、当日はダンス以外はそれほど、妨げにはなっていなかったと思い ます。コースをどのように配置するかを決めて、アンケートの質問の順番 を考え、作成を善家さんに任せたところで準備が終わりました。

 今回使用したコースは次のようになります。

  • 点字ブロック
  • 片斜面(右上がり、180cm×2枚)
  • レンガの坂道(市民会館に実際にあるスロープ 角度は不明)
  • 坂道1(板で作った坂全長180cm 傾斜4.14度)
  • 坂道2(全長270cm 傾斜1.59度〜3.50度)
  • 下り坂(実際にあるスロープ 角度不明)
  • みぞ(5cm , 7cm , 9cm)
  • 砂利道
  • 物を運ぶ

 さて、9/6当日。今年のスタッフ人数は10人。正直言ってちょっと 少ないかなとは思っていました。なにせ、当日は用意されていた車いすが 10台+子供用1台+電動2台。その上コースが長くマンツーマンにしろ ゾーンにしろ、どうしても人数が足りないのです。
 ただ、逆に人数の少なさを利用して、車いす体験乗車だけでなく介助の 方もやってもらって、2人1組でまわってもらおうとも思ったのですが、 コースが長いというのと、やや急な坂道があるのでこれはできませんでし た。ただ当日、3〜4人ぐらいのグループで来た小学生が、友達が乗って いるのを後ろから押してあげたり、車いすの乗り方を教えていたりする場 面もありました。人手が足りなくて、コースがおそらく安全であろうとい う場合はこうするのも手ではないかと思います。一応マンツーマンで車い すについて介助する方法をとりましたが、1人で2台受け持つこともあっ たので少し忙しかったかなと思いました。
 今回使用した車いすはいわゆる標準型車いす10台+子供用1台。スポ ーツタイプの用な物は使わなかったので後ろに倒れる危険はあまり感じま せんでした。コースにもやや急な坂道がありましたが、上り坂よりも下り 坂の方が厳しいかなと思いました。実際に乗ってみるとわかるのですが、 下り坂ではあまりスピードをださないようにすると、手が摩擦で痛くなっ てしまったり、腕を持っていかれるような事もあると思います。けがをす るならこちらの方ででるかなと思いましたが、当日はけが人がでなくてよ かったと思います。また、子供用が1台だったため、小学生の体に合わな い車いすに乗ってもらうことも多かったです。電動車いすについてですが これは主に介助を補助するものでした。電動自転車の車いす版といった感 じで、坂道を押すときなどかなり楽になりました。また下り坂では逆にス ピードが出過ぎないようになっていました。バッテリーも坂道のときだけ 動作するようになっているのでかなり長持ちするみたいです。これを自走 型の車いすに応用できればさらによくなるのではと思いました。
 さて、全体の様子をみるとレンガの坂を上るのに苦労している、下り坂 でかなりスピードがでてしまっているように見られました。アンケート調 査では下り坂の方が難しかったみたいで、「危険である」を選択したのが 砂利道についで多かったです。また坂道2(やや長めの坂)で板からはみ 出している人が多かったように思います。板がやや曲がっていたのかもし れませんが、まっすぐ走ることは以外と難しいのかもしれません。あいか わらず砂利道はかなりつらかったみたいです。使用する砂利の大きさと量 を調節してみるとよいかもしれません。
 体験者についてはだいたい察しがつくと思いますが、大半が小学生で、 終了2時間前ぐらいから常連アワーとなっていました。今回の常連リスト は次のようになります。

  ケンタ
  クボタリョウ
  ムラタコウタ
  マストミシン
  タカハシケンジ
 その他数名

 このあたりの常連は何度も乗っているので砂利道もかなりの率で一人で こなせるようになったみたいです。来年もこれらの常連には注意しましょう。  全体を通してみてみると、コースも実際のスロープを用いることができ てよかったと思います。また用意していただいた車いすもそれほど古い物 でもなかったので、こちらで用意するよりもよい物ではなかったかなと思 います。
 さて最後に、善家さんからイベント終了後、小学校の先生から車いす企 画をやったみたいというお話があったことを伺いました。企画段階から是 非この企画を広めたいといっていた善家さんの希望がようやく実を結ぶの かなと思います。この車いす企画をできるだけ多くの地域でやってもらい たいというのは私たち文めい堂の一つの目的であるとも思います。少しづ つですが、こうして車いす体験乗車が周囲に広められるようにしていける とよいのではないでしょうか。